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アベノマスクに思うチープ&ファストという考え

2020.05.17 代表ブログ

2020年3月25日に当社は10周年を迎えました。10周年という節目となるので、ぜひともブログを書いて、10周年を振り返り、また、これからの10年に向けてというようなコメントでも書こうかと思っていましたが、この度の新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、社内外ともに環境の変化が激しく、ブログを書くのをすっかり忘れておりました。ただ、最初に北海道の緊急事態宣言が出されてから約3ヶ月が過ぎ、社内外のコミュニケーションのほとんどがオンラインに変わり、私も自社サイトの改修や新規企画など、オンラインでの施策について検討する機会が増えてきましたので、このタイミングでブログを書くことにしました。

今週に入り、37都道府県で緊急事態宣言が解除され、ゴールデンウィーク前後に比べると少し落ち着きを取り戻しつつありますが、おそらく数ヶ月は続くであろう新型コロナウィルスへの対策と、これから数年に及ぶ景気の後退に関して、また、ここ最近社内に感じていることを「アベノマスク」と「チープ&ファスト」という観点で記事にしてみようと思います。

アベノマスクのタイミングの悪さ

まず、「アベノマスク」とやゆされる政府の緊急対応策。当社の東京事務所のポストにも投函されていましたが、東京都ではすでにアベノマスクが配布されているようですが、本社のある札幌市では今週から随時アベノマスクが配達されるようです。

一時期は、マスクがどこに行っても買えず、転売が問題になったりと国民の多くが大変困った時期がありました。当社でも転売品ではないものの、通常時に比べると割高なマスクをまとめて購入し、社員全員に配布するということをしました。ところが、今では、ヤマダ電機などに行くとマスクの箱が山積みにされていて、50枚入りで2千円台で売られているそうです。会社にも色々な会社からマスクを買いませんか?というダイレクトメールが送られてきます。社名は書きませんが、「え?この会社マスク売っているの?」と思うような会社からもマスクのダイレクトメールが届きます。ニュースで見ましたが、上野のアメ横にあるスポーツショップでも今では、スポーツ用品ではなくマスクを売っています。という話をしている姿がありました。

で、このタイミングでアベノマスクの到着です。正直「いまさらか」と思ったのは私だけではないのではないでしょうか。いただけるものなので文句を言ってはいけないとは思いつつも、本当に困っている時にもらえたら…と思うと少し残念な気持ちになります。

チープ&ファストという考え方

次にチープ&ファストについて書きます。チープ&ファストとは、チープ(英語cheapを日本語読みした外来語で、品質がイマイチという意味で使われる言葉)とファスト(速い)を組み合わせることで、まずは、品質がイマイチでもとにかく速く!初動を速く!という意味です。もちろん一言に「チープ」と言っても組織によってレベルは様々だと思います。当社のような中小企業のいう「チープ」と政府のいう「チープ」が同じレベルではいけないと思いますが、特に今回のような緊急時には「完璧な状態でないかもしれないけど、まずはすぐに動き出そう」という試みが大切なのではないかと思いました。

私の勝手な解釈ではありますが、マスクが買えなくて困っている方は、多少糸が解れていても、説明の文章に誤字脱字があったとしても、まずは一刻も早くマスクが欲しかったのではないでしょうか。

チープ&ファストにおけるバックボーン

また、チープ&ファストによる初動に関しては、なぜそうするのか?という考え方、バックボーンが大切だと同時に感じました。アベノマスクの実施に関しては、国民の安全を守るという大義名分があったと思います。もちろん賛否両論はあると思いますが、私は、そういった大義名分を感じるがために、多少チープでも良い(許せる)と思っています。

一方で、マスクが売れる、儲かると思って自分の商売の範疇ではないけど、マスクの仕入れをし、販売しようとしている企業が少なからずあると思います。全ての会社がとまでは思いませんが、やはり「自分の会社が儲かるから」というのが動機になっているのだと思いますが、儲かるから始めようと思いつつも、どこかに通常よりも高い金額で販売することに対する後ろめたさのようなものも感じつつ、意外と初動が遅かったりするのだと思います。

最近では、そういった会社からメールやFAXなど様々な形でマスクの販売に関して連絡がありますが、上記でも触れたとおり、すでにヤマダ電機など大手量販店でも手に入るようになってきたため、一気に価格が通常時の価格に戻りつつあり、おそらく大量の在庫を抱えることになるのではないかと思っています。儲かると思って始めたことが、結果あまり儲からないということになってしまうということです。

当社におけるチープ&ファスト

では、当社が新しいことを始めようとする際の初動はどうかと言いますと、ここまで政府や他社の話を例に書いてきましたが、恥ずかしながら当社もチープ&ファストを実践できているとは言えず、「結構チープ&まあまあファスト」といったところでしょうか。

10年前の3月25日、当社、株式会社アリスタイルを設立しました。私一人でのスタートでした。当時は、まさにチープ&ファスト。ただし、意図したものではなく、私のレベルが低過ぎで「チープ」、決めるのも一人、実行するのも一人なので「ファスト」。こんな感じです。日本電産さんではありませんが、「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」。その繰り返しがあったことで、今振り返ってみて今日の当社があるのだとしみじみ感じます。

一方で、現在も零細企業の域を超えませんが、20人ほどの組織になってきて、以前のようなチープ&ファストの取り組みが無くなってきて、先程書いた「結構チープ&まあまあファスト」という状況が多くあります。新しい取り組みを始めようと思うけど、形をルールを仕様を固めないとなかなか前に進めない。やはりチープな状態では問題があるのではないかなど。色々と理由はあるのだと思います。

チープ&ファストを実践するために必要なこと

では、チープ&ファストで物事に取り組む際に必要なことは何なのでしょうか。私なりに考えて必要だと思ったことは以下の2点です。

1.何のための実践(チープ&ファスト)なのか
2.私がやります!の決める心

何のための実践(チープ&ファスト)なのか

先程の「チープ&ファストにおけるバックボーン」でも触れましたが、「何のためにそれを実行するのか」という動機が必要だと思います。また、マスクの話に戻りますが、中には、これまでマスクを取り扱っていない企業でも「このままでは本業の低迷は避けられず、社員の雇用を守っていくことが難しい。なんとか生き残る方法はないか」ということで、これまで培ってきた小売のノウハウや問屋さんとのパイプを活かしてマスク販売をしている企業もあると思います。このような会社では、先程触れた「自分の会社が儲かるから」と比べて初動が速く、かつ、販売価格も通常よりは高いけど、お客さんが喜んで買ってくれる価格で販売されたのではないかと思います。

このような大義名分という見えない力が背中を押してくれて、通常より速く一歩を踏み出せるのではないかと思います。

当社も、今回の新型コロナウィルスの影響は少なからずありますし、これからますます影響が出てくるものと思います。これから続く不況を考えると、様々な取り組みをしていかなければならないと思います。その動機は「社員の雇用を、生活を守る」ということです。平常時はいつも「会社に集うみんなが幸せになるために経営をする」と経営理念の一文をとって話をしていますが、このような緊急時には「社員の雇用を、生活を守る」という言葉に置き換わってくるように思います。そのような大義名分があるからこそ、経営者として、決して完璧ではないけど、社員のために、そしてお客さんのために速く取り組もうという意識を持っていなければならないと強く感じます。これから様々な取り組みをしていくことと思いますが、社員のみんなも「また新しいことを取り入れるの!?」とか「全然完璧にできてないよね…」とか思うときもあるかもしれないけど、「社員の雇用を、生活を守る」という思いがあってのことなので、アベノマスクではありませんが、「多少チープでも良い(許せる)」と思ってほしいです。

私がやります!の決める心が必要

もう一つ、チープ&ファストにあたり必要なことは「私がやります!の決める心」です。創業時は先程書いたとおり、私一人しかいませんので、実行するのは私だけです。ただ、今は20名の仲間がいます。

最近、会議やミーティングで感じることは、「こうした方がいい」という改善提案は多く上がっており、当社の掲げる全員参加経営ということを感じる機会が多くあります。一方で、「こうしたい」「私がやります」という決める、決まるというシーンは少ないように感じています。この「決める」「決まる」ということがないと、なかなか前に進まないのだと思います。この決められない理由は色々あると思いますが、一つは、経営者である私が「チープ&ファスト」で初動を起こすという社風、失敗を恐れずに挑戦する社風を作れていないからだと思います。また、「常に仕事はパーフェクト」という考え方が当社のフィロソフィにあるからかもしれません。

他にも、物事を決めると必ず意見が合わないケースも出てくるというのも要因としてあるかもしれません。今回の新型コロナウィルスの件をとると、アベノマスクも、給付金の施策も、何の施策においても、賛否両論があります。企業規模が小さくても少なからず同じようなことがあるのだと思います。それでも決めて前に進めなければ、結局何もしないことと同じことだと思います。

チープ&ファストで走り出し、そこからパーフェクトを目指す

最後にまとめとして社内向けのメッセージとして、私の思っていることを書きます。

これから経済環境が激変し、これまでの状況とは全く異なるものになると思います。当社もその状況に順応し、経済環境の変化にあわせて成長していきます。そのためにも、「課題はたくさんありそうだけどまずはやってみよう!」「こういう方法なら始められそうだ」という考え方で、決してパーフェクトではないけどまずは初動を速くし、そして走りながら「完璧」「あるべき姿」を目指す。「走りながら考える」こんな組織を目指していきます。

10周年という節目に、経済環境の激変を経験することになったことは、なにか意味があると思っています。

WRITER

吉田 寛

株式会社アリスタイルの代表。得意分野は、お客様のビジネス理解力と、それをベースとした企画開発力です。主にBtoBビジネスのお客様のマーケティングとマネジメント分野の成長・改善をITでお手伝いします。

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